医療費控除はいくらから受けられる?対象や領収書の提出方法も紹介(第26回)​

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こんにちは!

税理士の脇田みきです。

 

みなさま今年の確定申告はいかがでしたか?

 

フリーランス向けの確定申告セミナーでは「事業所得」についてのお話がほとんどでした。

今日は「医療費控除」についてお話したいと思います。

 

というのも、確定申告の医療費控除についてお話するとけっこうな割合で

「え~!そうなの?知らなかった!」

と、言われることが多いんです。

 

 

確定申告の「医療費控除」について知らないで損することのないようにぜひ読んでみてくださいね。

 

医療費控除を受ける方



出典:

 

国税庁の動画チャンネルから、医療費控除の説明がされている動画がありますので、ご紹介させていただきます。

医療費控除の概要から、医療費控除の還付申告書を確定申告書コーナーで作成し、書面で提出する方法までご紹介している動画となっています。

もしよろしければ、ぜひ参考にしてみてください。

 

確定申告の医療費控除って?いくらから受けられる?

まず、確定申告における医療費控除とは、“医療費がたくさんかかった人は大変でしょうから、その年の税金を安くしましょう”という制度です。

 

一般的に、その年の医療費が10万円(※)を超えると、その超えた分が所得控除されます。

(※所得が200万円未満の場合は、所得の5%を超えた分)

 

医療費が20万円なら10万円、医療費が50万円なら40万円の所得控除がされるということです。

 

                        

所得控除とは「所得(儲け)」から引けるもの。

つまり、医療費は仕事の経費にはならないけど、税金の計算上はまるで経費のようになるのです。

(10万円以下ならゼロだけど…)

そして、

 

 

で税額を計算するので、税率が高い人(所得が多い人)ほど、確定申告の際の医療費控除によるインパクトも大きくなります。

 

「フリーランスの方の確定申告のやり方」についてご説明している記事もありますので、よろしければ合わせてチェックしてみてください♪

 

家族の分も含められる!?医療費控除を受けられる対象

さて、「でも1年間で10万円も医療費かかってないしな~」という方、それは喜ばしいことです。

誰しもケガや病気になった方がいいということはないです。

 

税金が安くなるからと言って不健康になろうとしないでください(笑)。

 

でもこれ、あなた一人だけではなく、家族など生計を一にしている人の、全員分合わせた医療費なのです。

 

奥さんやお子さんの医療費も全部合わせて10万円を超えたら、確定申告の際に医療費控除が可能です。

 

 

「生計を一(せいけいをいつ)にする」ってどういうことかというと、日常の生活のお金を共にしているということで、扶養家族じゃなくてもいいので、所得制限もありません

 

夫婦共働きでも家族の医療費を合計できます。

 

奥さんか旦那さんのどちら一方でしか確定申告の際に医療費控除が使えないので、税率が高い方、つまり所得が大きいほうの人が申告する方がお得です。

 

また、病院でかかった金額だけではなく、街の薬局で買う市販の薬も対象になります。

 

ここで代表的な「医療費の対象になるもの、ならないもの」についてまとめてみましょう。

(事業の「経費になるもの、ならないもの」みたいですね)

 

 

いかがでしょうか?

 

簡単に言うと、医療費控除は病気を治すためのものは対象となり、美容や予防のものは対象とならないイメージです。

 

でも例えば、大人の矯正でも「身体の構造、機能の欠陥を是正するため」であれば対象になります。

 

「美容のためではなく、歯並びが悪いままだと噛み合わせが悪くて頭痛になって体調不良になるんだ」とかの理由があれば大丈夫だと思いますが、まぁその場合は要相談です。

ひとまず原則はNGとのことです。

 

インプラントや矯正は100万円とかすることもありますから、確定申告で医療費控除をした方がいいです。

けっこう税金戻ってきますよ~。

 

医療費控除の期限はいつまで?

「わ~~~、でももう3月15日までに間に合わないっ!」

 

大丈夫ですよ!!!

医療費控除の申告は3月15日が過ぎても5年前までさかのぼって申告できます。

 

 

去年やおととしの医療費がたくさんかかって、領収書もとってあるのに、なんだか面倒で申告してなかった。

というフリーランスの方も、今からでも間に合います。

 

フリーランスですでに確定申告をしていた方は、「更正の請求」というのを出します。

 

ちなみに5年前までの、それぞれの年の還付を受けられるということであって、5年分の医療費を合計して…ということはできません。

 

医療費控除は還付金がない場合もある

では、次の場合はどうでしょう?

 

「去年は入退院を繰り返してて全然働けなくって収入ゼロ、医療費は100万円かかった。」

還付金はいくらくらいもらえると思いますか??

 

 

実は、残念ながらこの方が申告しても還付金は1円ももらえません。

もともと所得がなくて税額0円だから、返そうにも返す税金がないのです。

 

医療費控除は(ほかの所得控除も)、あくまでも「払うべき税額」がある場合に、その税金が安くなるのです。

 

すでに税金が差し引かれているサラリーマンなら納め過ぎていた税額が戻ってくる。

これから払うフリーランスの場合は税額が小さくなる。

 

でも1円も税金を納めない人には返すものも、少なくするものもありません。

「還付金」は補助金や保険金のようなものではないのです。

 

ただし、この方に配偶者(などの生計を一にする人)がいる場合。

その配偶者に税額があれば、配偶者が医療費控除を申告することで配偶者の税金が安くなります。

 

それから、健康保険組合などから補填されたり、保険によって医療費の一部を支払ってもらえた場合には、その分は差し引きます。

 

医療費の領収書は全部提出するの?

平成29年分から「医療費控除の明細書」を書いて提出することとなり、確定申告で領収書の提示や提出はしなくていいことになりました。

その代わり、5年間の保存義務があります。

 

 

税務署も毎年毎年ものすご~い量の医療費の領収書がきて困ったんですかね。

「もういいよ、明細書いてくれれば。領収書は自分で持ってて!」と…(多分)。

 

ただし経過措置としてまだ31年分まで(つまり来年の3月15日まで)は明細書を書かずに領収書を送りつけることもできます。

 

「うちで領収書なんて持っていたくないよ~、絶対なくしちゃうもん」

という方は、送っても大丈夫です。

 

「医療費控除の明細書」はこちらで作れます。

 

医療費控除はいくらから?対象や領収書の提出方法まとめ

医療費控除の確定申告についてのまとめ。

 

  • いくらから:その年の医療費が10万円を超えたら。
  • 対象:家族など「生計を一にしている人の、全員分合わせた医療費」が対象。
  • 期限:3月15日が過ぎても5年前までさかのぼって申告可能。
  • 還付がない例:納税をしていない方。
  • 領収書:全部提出しなくていいが、5年間の保存義務あり。

 

健康で、医療費控除を受けられないのが一番ですが、もしも医療費が多くあるようでしたらきっちり領収書などを保管しておいて、集計してみてくださいね。

 

「フリーランスの方の確定申告のやり方」についてご説明している記事もありますので、よろしければ合わせてチェックしてみてください♪

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。