こんにちは!
税理士の脇田みきです。
…さぁいよいよ、確定申告に必要な、「決算書」と「申告書」のうち「申告書」を作りましょう!
これができれば終了です。
でも、あきらめたらそこで試合終了ですよ。
前回の記事で「決算書」を作成しました。
そこで事業の所得「事業所得」(つまり利益)を計算しましたね。
最後に、「申告書」を作成します。
申告書の作成方法
申告書では所得(利益)をもとに、次のステップで税金を計算します。
ステップ① 色々な「所得」がある場合は、それらを合算する
ステップ②「所得」から引ける(控除できる)ものを合算する。
ステップ③ ①-②に税率をかける
まずステップ①
ご自身の収入がフリ―ランスとしてのものだけかどうか。
それだけならステップ②にいきます。
もしそれ以外の収入がある場合には、ここで合算します。
例えば、29年の途中まで給料をもらっていた場合(現在でも兼業で給料をもらっている場合も)は、それを入れます。
「源泉徴収票」を見ながら、年収などを入力します。
差し引かれている源泉所得税、社会保険料なども漏れなく入力してくださいね。
(そうしないと税金、損しちゃいます!)
ただし、業務委託で請け負ったお仕事は「給与所得」ではなく「事業所得」になりますので、「第3回決算書を作ろう」の「売上」にプラスしてください。
その他、全ての収入を入れたら、次に②所得から引けるもの(これを「所得控除」と言います)を入力します。
「控除」とは「引く」ことです。
「所得(利益)」から「控除」する、つまり利益を小さくするので、この所得控除が多いと税金は少なくなります。
誰でも控除できる(引ける)のが、基礎控除の38万円。
あとは扶養親族がいれば扶養控除、生命保険料を払っている場合には生命保険料控除、国民年金や国民健康保険料を払っていれば社会保険料控除(給与から引かれているものも)、ふるさと納税をしていれば寄付金控除、などです。
「所得控除」についてはこちら
さて、ここまで来たら最後に税率をかけます。
( 所得 - 所得控除 ) × 税率 = 税額
「所得」より「所得控除」の方が大きかったら、税金の対象となる所得は0円で(マイナスにはなりません)、所得税は0円となります。
「よかった、税金0円だ」というほっとした気持ちと、「来年はもっと稼ごう!!」という気持ちと…複雑な心境ですね。
そうでない場合は、「所得」から「所得控除」を引いた金額に、税率をかけて所得税が計算されます。
もし配当控除や住宅ローン控除がある場合は、この計算された税額から、さらに一定の金額を引くことができます。
「税額控除」についてはこちら
計算された税額が、納付する税額です。
給与から差し引かれていた源泉所得税があったり、先に納付していた所得税がある場合には、それとの差額分だけ納付すればいいので、漏れのないようにしてください。
(場合によっては税金が返ってくることもあります)
さぁ、できあがりです!
「やったー!決算書と申告書ができた~!!フリーランスの責務を果たしたわ。」
ぷしゅーーーっとビールぐいぐい…
…でも待って。
申告書は「提出」して税金を「納付」までしてこそ終わりです。
家に帰るまでが遠足ですよ。
提出と納付にはいくつか方法があります。
提出方法
・プリントアウトして郵送する
・税務署へ持って行く
どちらでも構いませんが、申告期限(3月15日)直前は税務署は大変混雑するので、①の郵送がお勧めです。
その際、提出用のほか控えも入れて、できれば簡易書留にして、切手を貼った返信用封筒も同封します。
そうすると後日、収受印が押された控えが戻ってきます。
申告期限当日消印まで有効です。
その他、e-Taxで提出する方法もありますが、自宅からe-Taxで提出するのはちょっと面倒な準備が必要なので、ここでは割愛します。
なお、期限内に申告しないと、65万円の青色申告特別控除が使えなくなってしまいます(10万円の控除はできます)。
せっかく65万円控除の決算書と申告書を作成したのに、うっかりして1日遅れただけでも65万円控除してもらえないうえ、決算書と申告書を作り直さなくてはいけない(控除額を10万円へ変更)ので、残念すぎますよね…
そうならないためにも、少し余裕を持って提出するようにしたいですね。
納付方法
・金融機関の窓口で納付
・振替納税
金融機関の窓口で納付
納税額を納付書に記入して、近くの銀行や郵便局等から振り込みます。
納付書がない場合には、最寄りの税務署や金融機関にも置いてありますので問い合わせましょう。
振替納税
自分の銀行口座から、自動で税金を引き落としてくれる制度です。
振替納税にすると、納付に行く手間が省けるうえ、振替日が4月20日ごろなので資金繰り的にも楽になります。
申告期限までに、振替依頼書を税務署か振替指定した金融機関へ提出する必要があるので、申告書等を税務署へ提出するときに一緒に出すといいでしょう。
その他、インターネットバンキングやクレジットカードで納付する方法もありますが、こちらも手続きが手間なのでここでは割愛します。
ここまで終わったら本当に終了です。
会社員のときにはなかった「確定申告」、いかがでしたか?
お疲れさまでした!!(ビール、ぷしゅーーっ)